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麒麟がくる(20)「家康への文」

今回の回は桶狭間の戦いまでの過程を描いた回でした。桶狭間の戦いは信長が義元を奇襲して義元を討ち取る戦いくらいの知識しかありませんでしたので、とても興味を持って視聴できました。

 

 

<出来事>

駿河の市の様子/左馬介からの報告/今川家の様子/東庵と元康の将棋/元康と駒/何にでも効く薬/織田家の会議/仕官を頼む光秀/熱田神宮の面会/大高城に入る元康/菊丸登場/手紙を読む元康/

 

今回は場面が行ったりきたりだったので、基本的に人物ごとに感想を記しました。

 

 

駿河の市の様子

 市場から物がなくなっていることで何やら大きな戦が始まりそうなことを示す場面でした。駒さんの髪型と服装が変わっていたのが印象的でした。公式Twitterを見るとそのことについて演者の方より言及がありました。

十兵衛

 十兵衛が子どもに論語を教えている様子が映っていました。以前よりもきれいな場所でやっていて光秀塾がグレードアップしているように見えましたが、単にカメラの角度の問題かもしれません。光秀は髪が伸びて服装も質素になったように感じました。

 第20話では子どもが誕生していました。同じような生活をしていても前回からそれなりに時間が経っています。

 視聴中、やっぱり生計はあの塾で立てているのだろうかと思った矢先に、熙子からお米がなくなったことが十兵衛に伝えられました。今までもやりくりしてなんとか繋いできたのでしょうけど、十兵衛には心配をかけないようにここまで伝えなかった熙子達の健気な気遣いが染みました。

 前々話では帰蝶たちに迷惑をかけないようにと、義景からお金を受け取ることを断ったり、今回は尾張の様子を心配したりと場所は離れていても心は常に帰蝶達の家臣であるという気持ちが伝わってきます。

 とはいえ、十兵衛は一緒にいる人達に飯を食わせるという役割もありますので、金銭的な面から義景の家臣に仕官を申し出ていました。しかし、仕官について家臣が義景に一応お伺いしようとしたところ、義景は蹴鞠があるからと取り合わず仕官については翌日に流れました。十兵衛は義景が蹴鞠をしていることにひどく怒っていました。

 視聴時はどうして蹴鞠をしていることに怒っているのだろうと思いました。

義景の蹴鞠に十兵衛が怒った理由を思いつくがままに書きました。

・早く仕官したいのに、取り合ってもらえなかったことに対する苛立ち
・上司が仕事せずに接待ゴルフばかりに出るような感覚
尾張が大事な局面であるにも拘わらず、平和ボケした行動に対する怒り
尾張が大事な局面であるにも拘わらず、自分は何をしているんだという苛立ち

 越前国が問題なく治まっているのであれば、当主が蹴鞠を楽しんでいることは別に悪いことではないと思いますし、それくらいの方がハッピーな状態のように思います。それに今回はおもてなし(接待)として蹴鞠をしていたのであって、来客をもてなすのは当主としての必要な仕事のように思います。

 ですが、十兵衛がそのようなことに憤りを見せたとは考えにくく、その直後に尾張に行くことを決意することから1~3つ目も多少はあるかもしれませんが、4つ目が主な理由ではないかと思いました。

 尾張は今川に攻められようとしていて、滅亡するかどうかの大事な場面です。そのような状況下、越前にいても心は帰蝶達の家臣で、尾張を案じて帰蝶に手紙で献策した(と思われる)ほどの十兵衛はこんな所で自分は何をしているんだというやるせなさがあのように表れたのではないかと解釈しました。

 ただ、元々お金に困っていたから仕官しようと考えていたのに、仕官をやめた上に更に尾張に行くというのは、家計は大丈夫なのかという不安が生じてしまいます。駒さんからもらった薬を質に入れて当面はなんとか凌ぐのでしょうか。

 

義元

 家臣との軍議では桶狭間の戦いへの尋常ではない思いの強さが感じられました。義元の下準備は作中ではほとんど扱われませんでしたが(本筋ではないので扱う必要はないと思います)、甲相駿三国同盟を代表として西に攻めるために時間をかけて丹念な準備を重ねていたはずです。

 東庵先生との面会では、最初は猫を撫でながらやさしい口調で話していました。猫を撫でているのはなんとなくマフィアのボスを連想させますし、普段は優しい口調なのに元康が信用に足りるかどうかどうかを伺うときに急に厳しい口調で話す様子から、敵のボスの演出にしか見えませんでした(笑)

 義元からドスの効いた声で元康について探る様子はとても怖かったのですが、それに対して多少たじろぐも堂々と元康が信頼に足る人物であることをはっきりと断言する東庵は流石でした。数々の大名と話をしてきたからこそ物怖じせずに物申すことができるのでしょうか。

 

信長

 今川との戦いを前にして、織田家でも軍議が開かれていましたが、家臣たちただ騒ぐだけでした。信長はかなりイライラしていましたが、帰蝶が元康の叔父である水野信元と会うように提案をすると、途端にご機嫌になりました。この喜怒哀楽の激しい信長は新鮮ですし、見ていて面白いです。

 熱田神宮で信元&元康の母と対面し、信元は元康を今川から切り離すことを、信長は今回勝てば今後三河には野心を向けないことを約束します。

 その過程で信長が母親について語る場面がありました。本当の目的は元康を今川から切り離すための対面なので、いくらかリップサービスの可能性についてもあるのですが、母は死んだことにしつつも今でも母親について思っている様子は感慨深いものがありました。

 

元康

 東庵先生との将棋の戦績は5勝93敗と東庵先生の将棋の強さもさることながら、どれだけ将棋をやっているんだと思いました(笑)それだけ東庵が駿河に滞在していて、元康と親密な関係を暗示しているのかもしれません。その後祖母に、東庵に会いに来ているのか自分に会いにきているのか詰められたときのニコっとした笑顔の爽やかさがすごかったです。両方ですという煮え切らない返事もあの笑顔で全て流してしまいました。

 家康が駒と二人で歩いている場面では、思うように動くことができない元康の心境と何にでも効く薬について話していました。

 三河駿河の属国にすぎないことに対する苦悩は竹千代時代から何度も触れられていました。作中ではいずれ来る戦もこの現状も「いたしかたないこと」と言っていましたし、時々逃げ出したくなるとも言っていました。

 何にでも効く薬は作中でも効くと信じる人にはお守り代わりと言われていました。正直なところ、何にでも効く薬は実際に効くかどうかなんてことはどうでもいいことで、少しでもすがれるものがあるならすがりたいという宗教的な要素があると思いました。

 その後大高城に入りますが、織田家の者に見つかったのに攻撃されなかったことに疑問を抱きつつも大高城主の鵜殿長照にそのことを話すと、元康が有能だったからと一笑に付されてしまいました。屋敷に入るとそこには母からの手紙を持った菊丸がいました。

 そこには、もう顔も声も忘れてしまうくらい会っていない母親からの、息子のことを想う気持ちが綴られていました。手紙中では戦に勝っても負けてもいいことはないから戦から手を引くようにという旨が書かれていました。

 手紙を読んだ元康に菊丸は三河の民を代表して今川を討つようにお願いします。手紙では、元康の母は今川を討つ旨は書いていませんでしたので菊丸と母親の微妙な違いがあるように思います。元康母は息子の身を案じ、ただ会いたいという純粋な気持ちが表れていました。

 実際問題、今川についていたら元康と母親はいつまで経っても会えないのかもしれませんがこういった純粋な気持ちが政治利用されてしまうというのはなんというかちょっと悲しかったです。

 

 

大河ドラマだと1話進むだけで数年間経っており、改めて振り返るとどうしても数年間思いを持ち続けたのかという点に意識がいってしまいます(笑)

 次回で一旦休止なのは残念ですが、全話やりきるそうですし最終回もその分延期ということで麒麟がくるについて楽しめる時間が長くなるとポジティブにとらえようと思います!次回の桶狭間も楽しみです!